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つぶやきとか色々自己中心的に書いていこうかと(む)。

また放置ですんまそん。仕事に忙殺されてます。

先日、珍しく仕事と直接関係のない論文を読めたので戯れにレビューちっくにまとめてみた。
別目的で使ったのだが、せっかくなのでこっちにもアップしてみようかと。
諸事情で2週間ばかり寝かせました(笑)。
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Sporadic Autonomic Dysregulation and Death Associated with Excessive Serotonin Autoinhibition
(Science, vol321, 4 July 2008, 130-133 (2008))

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)の原因に関する仮説について、トランスジェニックマウスを作成して検証を行った。このマウスでは、散発的な徐脈や低体温が認められ、これらは発育の限られた期間(成長期)に起こり、死亡してしまう例が多くみられた。またこのマウスでは、環境変化に応答した自律神経系が標的とする臓器の活動を低下させていた。
これにより、セロトニン神経に異常がある場合、睡眠中の呼吸と覚醒を司るセロトニン神経が機能不全に陥る事が原因であることが示唆された。
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SIDSの原因としてのセロトニン機能不全が、実験的に示唆された重要な論文だと思う。
原因究明が必ずしも治療につながるわけではないが、予防のための指針(疫学調査から策定)の有用性は明らかである。産婦人科や小児科で啓蒙していないわけではないが、決して充分ではないように思う。

最近新聞記事で科学論文を取り扱う事が増えてきたように思うが、その取り上げる基準がよくわからない。取り上げても、どこで発表されたのかよくわからないのが多く、ニュースソースの重要性を知らないのか、読み手を軽んじているのかと疑いたくなることも多い。
こういう論文も取り上げてくれるとよいのに、とか思いつつ。


もう少し長めに書いたものが読みたい方は
↓をポチッと。
鬱病治療薬のSSRI(選択的セロトニン輸送体阻害剤)の台頭で、セロトニンが鬱病・パニック障害・不安障害といった疾患に関与しているというのは有名だが、乳幼児突然死症候群(SIDS)でも重要な役割を果たしているらしい、というお話。
#余談だが、セロトニンは脳の発達過程でも重要なので自閉症との関与でも研究されている。


SIDS危険因子としてのセロトニン機能不全:モデルマウス作成による仮説の立証

乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)は、先進各国で生後1ヶ月から1年までの乳幼児死亡原因の上位にくる疾患である。乳幼児が何の予兆もなく突然死する(寝ている間に多い)。呼吸器系、心臓血管系の異常から研究されてきたが、いまだ原因はよくわからない。先天的因子、環境的因子が入り混じった疾患といわれている。SIDSの共通とされる病態は「睡眠時無呼吸からの回復が遅れる覚醒反応の異常」とできる。

SIDS発症に関与すると疫学的に報告されている因子
・ 母が喫煙者や薬物常用者の場合、赤ん坊の受動喫煙
・ 乳児のうつぶせ寝、暖めすぎ
・ 細菌感染症
SIDSの予防策の主なもの
・ 固いマットレスの上に仰向けに寝かせる。
・ 顔のまわりに呼吸を妨げるもの(毛布、タオル、ぬいぐるみ、枕等)をおかない
・ 妊娠中の喫煙、赤ちゃんの受動喫煙を防ぐ
・ できる限り母乳で育てる(母乳には免疫グロブリンが多く含まれる)
・ 赤ん坊を暖めすぎない、着せすぎ等による放熱の妨げに注意

原因はよくわからないと書いたが、最近の解剖調査により、SIDS患児の脳幹・延髄でセロトニン機能不全を示唆する徴候が示されたことから、「セロトニン・神経の自己抑制能異常により生じるという仮説」が報告されている。

この仮説を用いて、SIDSとセロトニン神経のかかわりを書いてみる。
口や鼻の周囲で二酸化炭素濃度が上がったり、呼吸の一時停止、新鮮でない空気を吸い十分な酸素が得られない場合、血液中の酸素量が一時的に低くなり、低酸素状態になることが予想される。
(通常は目を覚まして泣いたり、身体を動かして避けるのだが、生後間もない乳児が回避行動をとるのは簡単ではない。)
セロトニン神経に異常がある場合、睡眠中の呼吸と覚醒を司るセロトニン神経が機能不全に陥り、回避できずに死に至るという事らしい。
睡眠‐覚醒サイクルにおいて、セロトニン神経の活動を制御する最も重要な因子は、セロトニンを受容する受容体(5-HT1A受容体)の自己抑制能なので、研究者達はマウスを使い、この自己抑制能を変化させるとどうなるか調べることで、仮説の立証を行った。


Sporadic Autonomic Dysregulation and Death Associated with Excessive Serotonin Autoinhibition
(Science, vol321, 4 July 2008, 130-133 (2008))

セロトニン神経核でセロトニン受容体が過剰発現するマウス(しかも発現時期をコントロールすることができる(注1))を作り、セロトニンニューロンの自己抑制能を変化させたところ、散発的な徐脈や低体温が認められたという。これらは発育の限られた期間(成長期)に起こり、死亡してしまう例が多くみられた。またこのマウスでは、環境変化に応答した自律神経系が標的とする臓器の活動を低下させていた。
セロトニン受容体の自己抑制能に異常を持つこのマウスが、SIDSのモデルマウスと言えるらしい。環境素因や遺伝因子が入り混じった疾患の場合、モデルマウスを作るのは困難であるし、仮説を立証できたという点でも今後の研究が期待できる。

(注1)
5-HTTが発現している縫線核(セロトニン神経核)でHtr1aが過剰発現するマウス(Htr1a RO)。過剰発現時期を薬剤(テトラサイクリン誘導体:Dox)によってコントロールできる。
内在の5-HTトランスポーター(5-HTT)の制御配列下流に、セロトニン受容体(Htr1a)遺伝子をオンにするtTA(テトラサイクリントランスアクチベーター)をコードさせ、Htr1aの上流にスイッチ(テトラサイクリン-オフシステム)を導入してある。


原因の一端がわかったとしても、治療法ではないので、予防策の重要性・信頼性が増しただけかもしれない。しかし、「よくわからない」事を科学的に立証していく事が重要であるには違いない。個人的には「疫学調査って本当に重要」と想いをあらたにしましたが。

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